K-POPファンの初めてのソウル旅行:現地で本当にできることと守りたいマナー

K-Star Road、COEX、弘大、無料のHiKR Groundから、コンサートや音楽番組観覧の現実、推しと地元の人に喜ばれるファンのマナーまで。初めてのソウルで役立つK-POP旅のガイドです。

発行:Haeva Korea · 2026年10月17日

夕暮れのソウル・弘大の歩行者通り。スマホケースの店やネオン看板が並び、人々が行き交っている
夕暮れのソウル・弘大の歩行者通り。スマホケースの店やネオン看板が並び、人々が行き交っている写真: Striker9498 / CC0, via Wikimedia Commons

「推しの国に一度は行ってみたい」。そんな気持ちで韓国旅行を計画している方は、きっと少なくありません。文化体育観光部と韓国観光公社が2023年10月に発表した報告書では、韓国を訪れる旅行者の多い20か国のSNSやオンラインメディアで、韓国文化に関する言及のうちK-POPが韓国料理や美容、ドラマなどの文化コンテンツを上回って最も多かったそうです。ソウルの側もそれをよくわかっていて、公式の観光サイトには韓流のページがあり、無料で楽しめるK-カルチャー施設や、K-POPをテーマにした通りまで整えられています。

ただ、ファンの動画だけではわからない「現地の実際」もあります。事務所のビルは博物館ではなく、ふつうのオフィスです。コンサートのチケットは、思い立ってすぐ買えるものではありません。「アイドルが通う店」も、ふだんの街にあるふつうの飲食店です。この記事では、韓国で暮らす私たちの目線から、初めてソウルを訪れるK-POPファンが現実的にできること、行っておきたい場所、チケットや音楽番組の観覧のしくみ、そして推しやスタッフ、近所の人たちに気持ちよく過ごしてもらうためのマナーをまとめました。

  • K-POP36.8M
  • 韓国料理14.2M
  • 化粧品・美容10M
  • 文化コンテンツ9.3M
20か国のSNS・オンラインメディアでの韓国文化への言及数(2020年6月〜2023年5月、単位:百万件)出典: 文化体育観光部・韓国観光公社(Korea.net)

出発前に、期待値を整えておく

いちばん大切なのは、「誰かに会うこと」ではなく「場所と体験」を軸に計画することです。狎鴎亭のK-Star Roadで推しグループの像と写真を撮る、弘大のショップでアルバムを開封する、公的機関が運営する無料スタジオでダンス動画を撮る、憧れのアリーナでコンサートを観る。どれも計画どおりに実現できます。そのうえで本人の姿を見かけられたら、それは運です。運を追いかけ始めたところから、トラブルの多くは始まります。江南区の公式観光サイトも、アイドルが訪れることで知られる飲食店を紹介しながら、「知られている」というのは当日そこに誰かがいるという意味ではない、とわざわざ書き添えています。

もうひとつ知っておきたいのは、ファン向けの情報の多くはまず韓国語で出て、しかも予定がすぐ変わるということです。ポップアップストアや展示、センイル(誕生日)イベントは、数日から数週間で入れ替わります。この記事では公式の観光サイトに常設・運営中として載っている場所だけを紹介していますが、それでも旅行の週に営業時間を確かめておくと安心です。

まずはこれだけ:やりたいこと別の早見表

やりたいことどこで・どうやって知っておきたいこと
推しグループの像と写真K-Star Road(狎鴎亭ロデオ駅2番出口から清潭交差点方面)17体の「江南ドル(GangnamDol)」が並ぶ公道。像の位置はときどき変わる
巨大スクリーンでK-POPCOEX K-POP Square(三成駅6番出口)無料の広場で24時間開放。日没後がいちばんきれい
アルバム・トレカ・グッズ弘大(K-POP Square Hongdae、Withmuu AKプラザ)、COEX(Ktown4u)トレカはランダム封入なので、何枚も買うファンが多い
アイドル気分で撮影鍾閣駅近くのHiKR Ground、仁川空港第1ターミナルのHiKR Station韓国観光公社が運営。入場無料
ダンスレッスン江南区の公式サイトが紹介するワンデー・初心者クラス要予約。英語で受けられるか事前に確認
コンサートKSPO DOME、高尺スカイドーム、INSPIREアリーナなど宿は早めに。入場開始の2〜3時間前には現地へ
音楽番組の観覧放送局やアーティストの公式ファンチャンネル経由番組や週ごとにルールが違い、確実な方法はない
センイルカフェ・応援広告ファンダムのSNSで告知されるカフェ、三成・江南・弘大入口などの駅の広告ファン主催で期間限定。たいていは誰でも入れる
ソウルでK-POPファンができることと、行く前に知っておきたいこと出典: Visit Gangnam(江南区庁)、Visit Seoul、VisitKorea(韓国観光公社)

江南:K-Star Roadと事務所ビル

江南は、K-POPとのつながりを街歩きのルートに仕立てたエリアです。K-Star Roadは、狎鴎亭ロデオ駅から清潭交差点に向かって約1キロ続く通りで、沿道にはK-POPグループをそれぞれ表した、人の背丈ほどのクマ型アートトイ「江南ドル」が17体立っています。江南区は、水仁・盆唐線の狎鴎亭ロデオ駅2番出口から歩き始め、通りを歩きながら推しの像を探すようすすめています。像はときどき移設されるため、決まった場所の情報はすぐ古くなるからです。

同じページでは、今も江南に拠点を置く芸能事務所も紹介されていますが、書き方はとても率直です。事務所は観光地ではなく仕事場なので、見学ツアーもロビーも待機スペースもない。外から眺めるだけにして、声は控えめに。建物は住宅やお店に囲まれているから、というのがその理由です。よくある勘違いについても触れていて、大手事務所がすべて江南にあるわけではありません。江南区によると、SMエンターテインメントは2021年に清潭洞から聖水洞へ移り、HYBEは龍山区にあります。

江南区は、アイドルゆかりの飲食店や美容室、ショップをまとめた韓流ガイドブックも無料で公開していて、日本語版もダウンロードできます。推しが食べたと言われる店に行くなら、目的は料理と、自分のお皿の写真まで。店員さんは仕事中ですし、ほかのお客さんもそれぞれの時間を過ごしています。「先週誰が来たか」を聞くのは控えましょう。

COEX:巨大スクリーン、アルバム、そして図書館

ソウルのCOEXモール内にあるピョルマダン図書館。光に照らされた高い曲面の本棚が、エスカレーターと買い物客の上にそびえている
COEXモールの中にあるピョルマダン図書館(Starfield Library)。すぐ外がCOEX K-POP Squareなので、三成での午後にセットで回りやすい場所です。写真: Thingreenline4546 / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

三成駅から少し歩いたところにあるCOEX K-POP Squareは、COEXアティウムの巨大なLEDファサードの真下に広がる公共の広場です。ソウル観光財団のVisit Seoulは、画面を突き破って波が押し寄せてくるように見える3D錯視作品「WAVE」で知られる、ソウルを代表するデジタルランドマークのひとつとして紹介しています。一日中K-POPや韓流のコンテンツが流れ、江南区によると、アイドルの誕生日広告やカムバックの告知もよく映し出されるそうです。広場は無料で24時間開放されていて、日が沈んでからがいちばん映えます。

同じ建物の中では、COEXアティウムの2〜4階にあるKtown4u COEXが、アルバムやグッズ、ポップアップイベントの店として江南区のサイトに載っています。COEXモールの真ん中にある、壁一面が本棚になったピョルマダン図書館もすぐ隣。買い物とスクリーンの合間にひと息つくのにちょうどいい場所です。

弘大:アルバム、トレカ、そして「若者の街」

麻浦区の弘益大学周辺、通称「弘大(ホンデ)」は、Visit Seoulが「若者の街」と呼ぶエリアで、大学の正門近くの広場では若いミュージシャンが路上ライブをする様子も紹介されています。ファンにとっては、いちばん買い物がしやすい街でもあります。Visit Seoulが紹介しているのは、弘大入口駅1番出口近くでポップアップや展示、限定グッズを扱うK-POPショップ「K-POP Square Hongdae」と、4番出口前のAKプラザ2階にある「Withmuu」。Withmuuではアルバムやペンライト、フォトブックを販売し、アルバム発売の時期に合わせてサイン会やポップアップブースなどのイベントも開いています。

日本でもおなじみのトレカ(トレーディングカード)文化は、韓国ではさらに本格的です。多くのアルバムにはメンバーのフォトカードがランダムで1枚入っていて、ファンは何枚も買ってその場で開封します。韓国語で「アルバムカン(앨범깡)」と呼ばれる、いわばアルバム開封の儀式です。韓国観光公社のVisitKoreaも、かつてはおまけだったフォトカードが、今ではCDを買うおもな理由になっていると書いています。弘大周辺には開封用のテーブルやラウンジを用意している店もあり、トレカを入れるトップローダーのデコも、ひとつの趣味として定着しています。

聖水・龍山とファンがつくるイベント

ソウルのファン文化でいちばん面白いのは、ファン自身がつくるものかもしれません。VisitKoreaによると、ファンダムはアーティストの誕生日に合わせてカフェを丸ごと借り、フォトゾーンやカップ、バナー、特典で飾りつけます。日本の「生誕祭」に近い感覚のこの「センイルカフェ」は、所属事務所の近くで開かれることが多く、龍山のHYBE本社や聖水洞のSMエンターテインメント本社の周辺に集まります。江南区のサイトは、センイルカフェはカフェではなくファンが主催するもので、ふつうは1〜2週間前にファンダムのSNSで告知され、誰でも入れると説明しています。

ファンは誕生日やカムバックを祝う広告も自分たちでお金を出して、地下鉄の駅やバス停、商業施設のスクリーンに出しています。VisitKoreaは、三成、江南、弘大入口といった駅を、多くのファンが広告の写真を撮りに訪れる「広告の聖地」と呼んでいます。聖水はイベントがなくても歩く価値のある街で、VisitKoreaは近くの見どころとして、ソウルの森と、かつての工場街にできた延武場キルのカフェ通りを挙げています。

HiKR GroundとHiKR Station:無料で楽しめる公式スポット

地元のファンダム向けではなく、旅行者のためにつくられた場所をひとつ選ぶなら、韓国観光公社のK-カルチャー施設「HiKR Ground(ハイカーグラウンド)」です。場所は清渓川路40、地下鉄1号線鍾閣駅5番出口から徒歩約2分。入場は無料で、有料のプログラムがある場合は別途告知されます。「K-POP Ground」では、地下鉄の車内やコインランドリーなど、K-POPのミュージックビデオを思わせるセットで写真や動画を撮ったり、音楽と照明を選んで自分だけのパフォーマンス動画をつくったりできます。公式サイトによると、展示フロアは火曜から日曜の10時〜20時で月曜休館、5階の観光案内センターとカフェは毎日営業しています。館内ガイドは韓国語の定期案内のほか、日本語・英語などは実施する場合に別途告知されるとのことです。

同じ韓国観光公社が、仁川空港第1ターミナル地下1階の交通センターで運営しているのが「HiKR Station」です。毎日10時〜19時(毎月最終水曜は休み)で、照明や背景がそろったステージで、アイドルの「チッケム(ファンカム)」風の動画を撮影できます。到着直後や帰国前の空き時間にぴったりです。営業時間やプログラムは変わることがあるので、行く前に公式サイトで確認してください。

ダンスやレコーディングのレッスン

推しの振り付けを、その曲が生まれた街で習う。ファンにとってこれ以上の思い出はなかなかありません。江南区の公式観光サイトでは、旅行者向けにワンデークラスを開いているK-POPアカデミーが紹介されていて、経験がなくても参加できる初心者向けのダンスクラスや、プロデューサーの指導でブースに入って歌を録音できるスタジオもあります。レベルや使用言語、予約のルールはスタジオごとに違うので、早めに予約し、英語で受講できるかを確かめておきましょう。

ソウル市も、外国人旅行者向けに英語で行う無料の韓流体験プログラムを実施したことがあり、その中にはK-POPダンス教室も含まれていました。Korea.netは2024年11月まで行われたシリーズを伝えています。こうしたプログラムは季節ごとの企画なので、旅行の日程にちょうど重なればラッキー、くらいに考えて、Visit Seoulで最新情報を確認してください。

コンサート:会場、チケット、当日の動き

やはり一番の夢はコンサート、という方も多いはずです。主な会場を知っておくと計画が立てやすくなります。VisitKoreaのコンサートガイドによると、オリンピック公園で最大のアリーナで1988年ソウル五輪のために建てられたKSPO DOMEは約1万5000人を収容し、アーティストの間では成功の象徴とも見られているそうです。九老区の高尺スカイドームはプロ野球キウム・ヒーローズの本拠地で、最大約1万8000人を収容できる韓国最大の屋内コンサート会場。仁川・永宗島のINSPIREアリーナは韓国初のコンサート専用アリーナとされ、仁川空港から無料シャトルで約15分です。

いちばんの難関はチケットです。日本のファンクラブ先行のような抽選方式に慣れていると、韓国の公演では販売の方式そのものが違うことがあります。大規模なK-POP公演では、所属事務所や主催者が販売を告知し、公式ファンクラブ会員向けの販売やチケットサイトでの販売(またはその両方)を通じて売られるのが一般的です。ただ、外国から購入できるか、どのサイトを使うか、本人確認があるか、抽選か先着か、座席がどう割り当てられるかは、公演ごとにまったく違います。必ず公式の告知を読み、転売の投稿ではなくアーティストの公式チャンネルを追いかけましょう。簡単すぎる話には気をつけてください。

テレビの音楽番組の観覧は、さらに予測がつきません。観覧枠は、その週ごとに放送局やアーティストの公式ファンチャンネルを通じて割り当てられることが多く、ルールは番組によって変わり、入れる保証もありません。条件が合えば最高の思い出になりますが、旅の計画は自分でコントロールできることを軸に組み立てるのがおすすめです。

当日についてVisitKoreaは、会場周辺は交通も人出もすぐに混み合うため、入場開始の2〜3時間前には到着すること、会場近くのホテルは2〜3か月前には予約することをすすめています。公式ペンライトも進化していて、Bluetoothでつながり演出の一部になるものが増えました。VisitKoreaはこれを、ファンがコンサートづくりに参加できるようになったと表現しています。写真や動画の撮影ルールは公演ごとに決められているので、事前に確認し、会場ではスタッフの案内に従いましょう。

推しにも地元の人にも喜ばれるファンのマナー

遠慮して小さくなる必要はありません。Bluetoothでつながるペンライトから自費の応援広告まで、韓国のファン文化はにぎやかで、創造的で、気前のいいものです。そこで引かれている線は、公共の場でアーティストを祝うことと、私生活に踏み込むことの間にあります。その線を大切にする旅行者は、きっとこの楽しい輪の中に迎え入れてもらえます。

旅の実用メモ

ソウル地下鉄2号線三成駅の6番出入口。屋根のついた階段が地下へ続き、後ろに木々が見える
地下鉄2号線三成駅の6番出口。Visit SeoulがCOEX K-POP Squareへの最寄り出口として案内しています。写真: LERK / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

そして何より、予定に余白を残しておくこと。ソウルでのいちばんのファンの思い出は、計画していなかった瞬間に生まれることがよくあります。知らなかった誕生日広告、弘大で推しの曲をカバーするバスカー、同じグループのTシャツを着た見知らぬ人が教えてくれた正しい出口。場所はしっかり計画し、人との出会いは気楽に待つ。そうすれば、トレカ以外にもたくさんのおみやげをソウルから持ち帰れるはずです。

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