ソウルの五大古宮、どこに行く?景福宮・昌徳宮・徳寿宮の違いと休館日

景福宮、後苑のある昌徳宮、夜まで開く徳寿宮と昌慶宮、無料の慶熙宮、宗廟。違いと休館日、所要時間、日本語ガイドの時間をまとめました。

発行:Haeva Korea · 2026年10月19日

昌徳宮の後苑で、松に囲まれた芙蓉池の向こうに宙合楼がそびえている
昌徳宮の後苑で、松に囲まれた芙蓉池の向こうに宙合楼がそびえている写真: Sadopaul / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ソウルは、王宮から次の王宮まで歩いて20分ほどで行ける、世界でも珍しい首都です。1392年から続いた朝鮮王朝と、その後の大韓帝国の時代の王宮が5つ残っていて、「五大古宮」と呼ばれています。さらに歴代の王と王妃を祀る宗廟(チョンミョ)もあり、どれも旧市街の城壁の内側、地下鉄で数駅の範囲に収まっています。

とはいえ、初めての韓国旅行で全部を回る時間がある人は多くありません。ガイドブックでは似たような扱いをされがちですが、実際の性格はかなり違います。いちばん壮大な正宮、ガイド同行でしか入れない庭園を持つ宮殿、オフィスビルに囲まれて夜9時まで開いている宮殿、無料でほとんど人のいない宮殿。休館日もそろっていません。この記事では、ソウルに暮らす私たちの目線で、それぞれの違い、実際に必要な時間、旅のスタイル別の選び方をまとめました。

ソウル初日の回り方は、景福宮(キョンボックン)と守門将交代式、北村(プクチョン)の韓屋の路地を組み合わせた「ソウル3日間モデルプラン」の記事で紹介しています。ここでは一歩引いて、古宮全体を比べてみます。

まずはこれだけ:古宮の早見表

古宮こんな人に休館日所要時間の目安
景福宮(キョンボックン)1か所だけ行くなら。最大の正宮、光化門と正殿、敷地内に博物館が2つ火曜日2〜3時間
昌徳宮(チャンドックン)と後苑地形に寄り添う建築、ガイド同行の秘苑(後苑)月曜日1時間半、後苑も入れると約3時間
昌慶宮(チャンギョングン)静かな散策、池と1909年の温室、夜まで開いている月曜日1〜1.5時間
徳寿宮(トクスグン)韓国式と西洋式の建物が並ぶ都心の宮殿、夜9時まで月曜日1〜1.5時間
慶熙宮(キョンヒグン)入場無料で人が少ない。ソウル歴史博物館の隣月曜日45分〜1時間
宗廟(チョンミョ)王と王妃を祀る厳かな祠堂。世界遺産火曜日約1時間
ソウルの五大古宮と宗廟の早見表出典: 宮陵遺跡本部(国家遺産庁)、慶熙宮はVisit Seoul。所要時間は公式の解説時間をもとにした編集部の目安

休館日はバラバラ。ここでつまずく人が多い

古宮を管理する国家遺産庁の宮陵遺跡本部によると、景福宮と宗廟は毎週火曜日、昌徳宮・徳寿宮・昌慶宮は毎週月曜日が定休日です。定休日が祝日や振替休日と重なった場合は開館し、その次の最初の平日が休みになります。慶熙宮は宮陵遺跡本部の管轄外で、ソウル市の公式観光サイトVisit Seoulでは月曜日と1月1日が休みとされています。

裏を返せば、すべての古宮が同時に閉まっている曜日はありません。月曜日なら景福宮か宗廟、火曜日なら昌徳宮・昌慶宮・徳寿宮・慶熙宮が開いています。ソウルで自由に使える朝が1回しかない場合は、日程を組む前にまず曜日を確認しておきましょう。

景福宮:1か所だけなら、まずここ

景福宮は王朝が始まって3年後の1395年に、新しい都の正宮として建てられました。公式の沿革には、ハングルのもとになった「訓民正音」がここで作られ、広められたと記されています。1592年の壬辰倭乱(日本でいう文禄の役)で焼失したあと、270年ほど廃墟のままで、1867年に高宗(コジョン)の時代に再建されました。その後、植民地期に多くの建物が取り壊され、1990年代から続く復元工事で、今も少しずつ往時の姿を取り戻しています。

景福宮の魅力は、スケールと左右対称の端正さです。正門の光化門(クァンファムン)から門をいくつもくぐって北へ進むと、正殿の勤政殿(クンジョンジョン)が現れ、その背後に北岳山(プガクサン)がそびえます。敷地内には国立古宮博物館と国立民俗博物館もあります。いちばん混む古宮なので、9時の開門に合わせて行くのがおすすめです。開館時間は季節で変わり、11〜2月は17時まで、3〜5月と9〜10月は18時まで、6〜8月は18時30分まで。入場は閉館の1時間前までです。

日本語の無料解説は10時と14時30分に、英語は11時、13時30分、15時30分に、開館日は毎日行われています。集合場所は興礼門(フンネムン)をくぐってすぐの案内所前で、所要は1時間から1時間半ほど。10人未満なら予約は要りません。池に浮かぶ宴会場の慶会楼(キョンフェル)や、北側の小島に建つ香遠亭(ヒャンウォンジョン)は、ゆっくり眺めたい場所です。なお、春と秋に行われる慶会楼2階の特別観覧は、公式サイトによると韓国語のみの解説で、事前のオンライン予約が必要です。

昌徳宮と後苑:予約してでも見たい庭園

青空の下に建つ昌徳宮の正殿・仁政殿。2層の屋根と緑の彩色が施された軒
昌徳宮の正殿、仁政殿(インジョンジョン)。1610年にほかの宮殿に先駆けて再建され、約270年にわたり王の主な居所となりました。写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

昌徳宮は1405年に離宮として建てられ、1592年の戦乱のあと1610年に、どの宮殿よりも先に再建されました。それから約270年、実質的な正宮として王が暮らした場所です。直線的な景福宮とは対照的に、建物が丘の起伏に沿って配置されていて、公式サイトでも「最も韓国的な宮殿」と紹介されています。1997年にユネスコ世界遺産に登録されました。朝鮮王家の最後の人々が晩年を過ごした場所でもあり、公式の沿革には、徳恵翁主と李方子(まさこ)妃が1989年にここで亡くなったと記されています。

それでも多くの人が昌徳宮を選ぶ理由は、後苑(フウォン、秘苑とも)でしょう。Visit Seoulによると、宮殿の敷地の約6割を占める森の谷に、池と東屋が点在しています。芙蓉池(プヨンジ)越しに2層の宙合楼(チュハムヌ)を望む眺めは、ソウルを代表する風景のひとつです。後苑には決められた時間にガイドと一緒にしか入れません。京都の桂離宮や修学院離宮のような「予約制の庭園」をイメージすると近いかもしれません。外国語の回は1回100人まで、半分がオンライン販売、半分が当日の現地販売です。

宮陵遺跡本部の案内では、日本語の回は水・金・日曜日の13時30分。英語は10時30分、11時30分、14時30分の通年3回に、3〜11月は15時30分が加わります。所要は約70分で、奥の玉流川(オンニュチョン)一帯は保存修理のため当面公開されていません。集合場所は後苑の入口で、公式サイトによると昌徳宮の入口(金虎門)から歩いて15分以上かかるので、時間には余裕を持ってください。後苑のチケットとは別に、昌徳宮の入場券も必要です。

オンライン予約は、観覧日の6日前(当日を含まない)の午前10時から前日までの先着順。当日券は午前9時から現地で販売されます。公式の料金ページでは、4〜5月と10〜11月はオンライン・当日券ともすぐに売り切れると注意が出ています。後苑なしなら建物だけで1時間半、後苑も入れると半日を見ておくと安心です。建物エリアの日本語解説は水・金・日曜日の11時、英語は火〜日曜日の10時15分と13時15分です。

昌慶宮:静かなお隣さん、夜まで開いている

昌慶宮の門の赤い木の扉の間から見える正殿・明政殿
門の扉越しに見る昌慶宮の正殿、明政殿(ミョンジョンジョン)。Visit Seoulは、宮殿の正殿のなかで最も古いと紹介しています。写真: Basile Morin / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

昌慶宮は昌徳宮のすぐ東隣にあり、かつては2つ合わせて「東闕(トングォル)」と呼ばれていました。1483年に成宗(ソンジョン)が祖母・母・叔母のために拡張した宮殿で、政治の場というより王家の女性たちの暮らしの場でした。近代の歴史はつらいものです。1909年に敷地内に動物園と植物園が造られ、1911年には「昌慶苑」という公園に格下げされました。名前が昌慶宮に戻り、復元が始まったのは1983年のことです。

そうした経緯もあって、今の昌慶宮はほかの古宮より緑が多く、のんびりした雰囲気です。春塘池(チュンダンジ)という池と、1909年に建てられた白い木枠のガラス温室(大温室)があり、Visit Seoulは韓国初の西洋式温室と紹介しています。開館は通年9時から21時(入場は20時まで)。夕方以降は弘化門・明政殿・通明殿・春塘池・大温室の一帯が夜間開放エリアになり、それ以外の場所にいる人はそちらへ移動するよう案内されます。12〜2月は大温室の内部が18時で閉まります。

日本語の無料解説は火〜日曜日の10時、英語は11時と15時で、玉川橋(オクチョンギョ)の横から出発し、約1時間です。土・日曜日と祝日は、昌慶宮と宗廟のあいだにある栗谷路(ユルゴンノ)側の門が開くので、歩いて行き来できます。

徳寿宮:都心のビル街に残る宮殿

石畳の広場の先に建つ徳寿宮の正殿・中和殿と、その背後の高層ビル
徳寿宮の正殿、中和殿(チュンファジョン)。背後にはソウル中心部のビル群が見えます。写真: Mobius6 / CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

徳寿宮は、1593年、都の宮殿がすべて焼失したあとに仮の王宮として使われたのが始まりで、1611年に正式な宮殿になりました。転機は1897年。高宗が大韓帝国を宣言し、ここを皇宮としたのです。伝統的な殿閣の隣に西洋式の建物が建てられ、1910年には石造りの新古典主義建築・石造殿(ソクチョジョン)が完成しました。1907年に高宗が退位させられたあと「徳寿宮」と改称され、1946〜47年には石造殿で米ソ共同委員会が開かれています。

景福宮を見たあとでも徳寿宮に行く価値があるのは、この「混ざり方」にあります。朝鮮の宮殿の中庭からガラス張りのビルを見上げ、そのまま西洋風の建物に入っていける場所は、ほかにありません。市庁(シチョン)駅のすぐ横で、月曜日以外は毎日9時から21時まで(入場は20時まで)開いているので、観光の締めくくりに立ち寄りやすい古宮です。外側の石垣に沿った「徳寿宮石垣道(トルダムキル)」は、ソウルの人にも人気の散歩道です。

境内の日本語解説は火〜日曜日の9時30分と16時、英語は10時45分と13時30分で、約45分。石造殿の内部にある大韓帝国歴史館は、オンラインで事前予約したガイド付き観覧でのみ見学できます。正門の大漢門(テハンムン)前では、月曜日を除いて守門将交代式が行われるとVisit Seoulは案内していますが、雨の日や猛暑・厳寒の日は中止になります。

慶熙宮:無料で、ほとんど人がいない

慶熙宮は、旅行者の多くが素通りしてしまう古宮です。光海君(クァンヘグン)の命で1623年に完成し、「西闕(ソグォル)」と呼ばれ、最盛期には100ほどの建物がありました。その大半は植民地期に失われ、復元された一部が2002年から公開されています。今見られるのは正殿と復元されたいくつかの建物で、光化門駅から西へ歩いて10〜15分ほどです。

規模も残っている建物も控えめですが、そのぶん静かで、Visit Seoulによると入場は無料。開館は9時から18時、月曜日と1月1日が休みです。旧王宮の敷地にはソウル歴史博物館が建っているので、雨の日や、混雑を避けたい午後に組み合わせるとちょうどいいでしょう。古宮だけなら45分から1時間ほどです。

宗廟:宮殿ではない。だからこそ行く価値がある

赤い柱が一直線に並び、黒い瓦屋根が長く続く宗廟の正殿
宗廟の正殿。朝鮮の王と王妃の神位(位牌)が、一列に連なる部屋に祀られています。写真: Daderot / Public domain, via Wikimedia Commons

宗廟は、朝鮮の歴代の王と王妃、大韓帝国の皇帝と皇后の神位を祀り、祭礼を行う王室の祠堂です。1395年、「王宮の左に宗廟、右に社稷壇」という古来の配置にしたがって建てられました。正殿は何度も増築され、現在は19間が一直線に連なります。Visit Seoulによると長さは約109メートル。1995年に世界遺産に登録され、2001年には宗廟祭礼と祭礼楽がユネスコの無形文化遺産にも登録されました。宗廟の公式の沿革によると、王室の祭礼は1971年から毎年5月の第1日曜日に行われています。

宮殿のような華やかな正殿はなく、あるのは長く続く赤い柱、一段高い石の参道、古木の静けさです。日本の神社や霊廟の空気に近いものを感じる人もいるでしょう。平日の多くは、決められた時間にガイドと一緒に入る「時間制観覧」です。日本語の回は9時40分、11時40分、13時40分、15時40分、英語は10時、12時、14時、16時。土・日曜日と祝日は自由に見学できます。水曜日の扱いは公式ページの間でも表記が分かれているので、平日に行く場合は宗廟の案内を確認してください。

韓服の無料入場、そのほかの無料・共通券

韓服を着ていれば、景福宮・昌徳宮・徳寿宮・昌慶宮・宗廟に無料で入れます。公式のよくある質問では、外国人も対象であることがはっきり書かれています。伝統韓服も、現代風の生活韓服も認められますが、合わせ襟のチョゴリ(上衣)と、チマ(スカート)またはパジ(ズボン)を上下そろえて、きちんと着ていることが条件です。トゥルマギ(外套)だけ、チョゴリにジーンズ、韓服のスカートにTシャツといった「部分着用」は対象外です。韓服で古宮を歩く体験については、K-ドラマと実際の韓国を比べた記事でも紹介しています。

公式の料金ページには、ほかにも無料入場の対象が載っています。外国人は18歳以下と65歳以上が無料で、年齢を証明できるものが必要です。また、毎週水曜日は「文化のある日(ムナガ インヌン ナル)」として、景福宮と昌徳宮の後苑を除いて無料とされています。慶熙宮はいつでも無料です。

いくつも回る予定なら、「宮殿統合観覧券」が便利です。景福宮・昌徳宮・昌慶宮・徳寿宮・宗廟に、購入日から6か月以内に各1回入場できます。各古宮の券売所で買えますが、昌徳宮の後苑は含まれません。払い戻しは購入した古宮でのみ、1か所も使っていない場合に限られます。

夜の古宮

通常の営業として夜まで開いているのは、徳寿宮と昌慶宮の2か所で、どちらも21時まで(入場は20時まで)です。景福宮と昌徳宮の夜間特別観覧は特定の季節だけの催しで、チケットも予約方法も別、しかも毎年のように変わります。ブログやSNSで見た日付はあくまで参考にとどめ、その年の公式サイトのお知らせを確認してください。

結局、どこを選べばいい?

位置関係も選ぶ手がかりになります。昌徳宮・昌慶宮・宗廟は旧市街の東側にまとまり、景福宮と慶熙宮は西側、徳寿宮は市庁のそばです。1日2か所なら無理がなく、3か所は1つを短めにすれば何とか、というのが実感です。境内は砂利や石畳を長く歩くので、履き慣れた靴で出かけましょう。

アクセス

どの古宮も地下鉄で簡単に行けます。景福宮は3号線景福宮駅5番出口か5号線光化門駅2番出口。昌徳宮は3号線安国(アングク)駅3番出口から歩いてすぐです。昌慶宮はVisit Seoulの案内では4号線恵化(ヘファ)駅4番出口から約800メートル。徳寿宮は1・2号線市庁駅の目の前、慶熙宮は5号線光化門駅1番出口と西大門駅4番出口の中間、宗廟は鍾路3街駅8番出口から数分です。T-moneyカードの使い方や地下鉄の乗り方は、交通ガイドにまとめています。

休館日、後苑のチケット発売日、夜間開放。古宮をうまく組み込もうとすると、旅の準備は意外とパズルのようになります。自分で組むのが面倒なら、Haevaがあなたの日程に合わせて、古宮をちゃんと開いている日に配置した日ごとのプランをお作りします。

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