車なしで済州島を旅する:バス・タクシー・泊まる場所の選び方

運転しなくても済州島は楽しめます。路線バスのしくみと運賃、タクシーとツアーの使い分け、済州市と西帰浦どちらに泊まるか、バスで行ける名所をまとめました。

発行:Haeva Korea · 2026年10月19日

済州島東海岸、緑の草地と見学エリアの向こうにそびえる城山日出峰の岩肌
済州島東海岸、緑の草地と見学エリアの向こうにそびえる城山日出峰の岩肌写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

済州島(チェジュ島)というと「レンタカーで回る島」というイメージが強いかもしれません。実際、韓国の人も旅行者の多くも車を借りて島を一周します。ただ、日本とは逆の右側通行に慣れない道、知らない土地での駐車探しと考えると、運転はちょっと…という方も多いはずです。旅の目的が景色やごはんなら、ハンドルを握らなくても済州はかなり楽しめます。

済州には道の行政が管理する路線バス網がすみずみまで走り、どの町にもメーター制のタクシーがあり、バスが不便な場所には日帰りツアーもあります。大切なのは、バスに合わせて旅を組み立てること。この記事では、済州で暮らす私たちの目線から、バスのしくみと運賃、タクシーとツアーの使い分け、車なしなら済州市と西帰浦(ソギポ)のどちらに泊まるか、そしてバスで行きやすい場所・行きにくい場所をまとめました。路線番号・運賃・登山ルールは、2026年10月時点で済州道の公式バス情報システムと漢拏山(ハルラサン)国立公園の公式サイトで確認したものです。路線はときどき改編されるので、出発前には必ず最新の情報を確かめてください。

バスは「番号の頭の数字」で種類がわかる

済州のバスでまず覚えたいのは、路線番号の最初の数字でバスの種類がわかるということです。公式の済州バス情報システムでは、次のように分類されています。

済州観光公社の公式サイト「Visit Jeju」によると、車体の色は急行が赤、幹線が青、支線が緑。バス車内には無料Wi-Fiがあり、多くの停留所には次のバスの到着予定を表示する画面があります。日本の地方で路線バス旅をしたことがある方なら、感覚はかなり近いはずです。

拠点は二つ:空港と済州バスターミナル

済州国際空港は済州市の市街地にあり、着いたらもうほぼ町の中です。急行バスの多くは空港が起点で、公式の路線一覧によると、101番は東の海岸道路を通って南元(ナムォン)へ、111番は松堂(ソンダン)を経由して城山(ソンサン)港へ、121・122番と131・132番は島の真ん中を抜けて表善(ピョソン)や南元へ。181・182番は、漢拏山の東側の5.16道路と西側の平和路(ピョンファロ)を使って、空港・済州バスターミナル・西帰浦を大きく一周します。

もう一つの拠点が済州市中心部の済州バスターミナルです。ここから出る200番台のうち、旅行者がまず覚えたいのは四つ。東海岸を城山日出峰経由で西帰浦まで走る201番、西海岸を高山(コサン)経由で走る202番、1100道路で漢拏山の登山口を通って中文(チュンムン)へ向かう240番、そして5.16道路で島を縦断して西帰浦へ向かう281番です。

並木道を走る済州のバスの車内から前方を見た様子。運転席の上の画面に182番の表示がある
急行182番の車内。運転席の上の画面に路線番号と次の停留所が表示されます。車内には無料Wi-Fiもあります。写真: Sgroey / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

中文・西帰浦へは空港リムジンが便利

空港から南海岸へ直行するなら、荷物室のある空港リムジンがいちばん楽です。済州バス情報システムによると、600番は空港から中文観光団地を通り、国際コンベンションセンター、ワールドカップ競技場、西帰浦港を経て西帰浦のKALホテルまで。800番は済州バスターミナルから空港を経由して西帰浦バスターミナルへ向かい、600番と違って中文は通りません。800-1番は早朝と深夜だけの運行です。所要時間は、Visit Jejuの案内では空港から中文まで約50分、西帰浦市内まで約70〜80分が目安です。

運賃・交通カード・乗り換え割引

済州バス情報システムに2026年10月時点で掲載されている大人運賃は次のとおりです。

公式サイトが使えるカードとして挙げているのは、T-moneyなどの全国共通のチャージ式交通カード(コンビニで購入・チャージ可能)と、後払いの交通機能がついたクレジットカードです。カードで払うと、降車タッチから40分以内に別のバスに乗れば最大2回まで乗り換え割引が受けられます。ただし同じ番号の路線どうしは対象外。降りるときにもカードをタッチするのを忘れないようにしましょう。運転手さんに人数を伝えれば1枚のカードで複数人分を払えますが、その後の乗り換え割引は1人分だけになります。T-moneyについては「韓国のお金:現金とカード」の記事も参考にしてください。

時刻はアプリではなくウェブで確認

済州道の済州バス情報システムでは、路線、停留所、時刻表、バスのリアルタイム位置を確認でき、メニューは日本語にも対応しています。以前あった専用アプリは廃止され、2026年7月のお知らせで、ウェブページをスマートフォンのホーム画面に追加する方法が案内されています。Visit JejuはKakaoMapなど韓国の地図アプリも勧めていて、バスの経路検索やリアルタイムの運行位置がわかります。運休がある場合も、バス情報システムに告知が出ます。

Visit Jejuによると、バスはおおむね朝6時ごろから夜10時ごろまで。市内の路線は本数が多い一方、町や主要観光地から離れると1時間以上待つこともあります。この「海岸と幹線道路は便利、内陸の静かな場所は時間がかかる」という感覚が、車なしの済州旅のいちばんの前提になります。

泊まるのは済州市?西帰浦?

済州市は「実用」の拠点です。空港、済州バスターミナル、ほぼすべての急行バスがここに集まっているので、東海岸、西海岸、漢拏山の登山口へ乗り換えなしで行けますし、食事や宿の選択肢も島でいちばん豊富です。弱点は、市街地そのものは済州らしい景色の場所ではないことと、南海岸まで少し遠いことです。

西帰浦は「景色」の拠点です。公式の路線一覧を見ると、市内循環の641・642番が天地淵(チョンジヨン)の滝に、615番が海に立つ奇岩・外トルゲ(ウェドルゲ)に停まり、滝や海岸の絶景が市内バスの範囲にあります。空港とはリムジン600・800番、城板岳(ソンパンアク)登山口とは281番でつながり、中文観光団地にもリムジン600番や240番で行けます。一方で島の東西の内陸へ向かう路線は少なめで、夜は静かです。

4泊以上なら、前半を済州市、後半を西帰浦に分けるのがいちばん簡単です。朝日を見たい場所があるなら、その近くに泊まりましょう。始発はだいたい朝6時ごろなので、バスだけでは日の出に間に合わないことが多いからです。

エリアバスで行ける?ひとことアドバイス
済州市・空港簡単急行は空港発、201・202・240・281番は済州バスターミナル発。
西帰浦の市内と海岸簡単空港からリムジン600・800番。天地淵の滝は641・642番、外トルゲは615番。
中文観光団地簡単リムジン600番が通る。済州市からは1100道路経由の240番も。
城山日出峰行ける東海岸を走る201番が停車。空港からは急行111番で城山港へ。
漢拏山・城板岳コース行ける5.16道路の281・181番。山頂コースは事前予約が必要。
漢拏山・御里牧/霊室コース行ける240番。霊室は管理事務所から最初の2.5kmが車道区間。
西海岸(翰林・高山・摹瑟浦)行ける(時間はかかる)202番が海岸沿いを走る。急行102番は摹瑟浦南港まで。
東部の森やオルム(側火山)行けるが不便村のバス711-1番や大川発の循環810番。本数は少なめ。
早朝・深夜の予定難しいバスはおおむね朝6時〜夜10時。近くに泊まるかタクシーで。
車なしで行きやすい場所・行きにくい場所出典: 済州バス情報システム、漢拏山国立公園、Visit Jeju

城山日出峰へはバスで

島の東端にそびえる城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)は、2007年にユネスコ世界自然遺産に登録された「済州火山島と溶岩洞窟」の一部で、車なしでも行きやすい名所の代表です。公式の路線一覧では、東海岸道路を走る201番(済州バスターミナル〜西帰浦)の経由地として城山日出峰の名前がはっきり挙がっています。済州市から西帰浦へ移動する日に途中下車するのが効率的です。空港からなら急行111番で城山港へ向かう方法もあります。

Visit Jejuによると、山頂までは階段が続く有料区間で30〜40分ほど。ゆるやかな無料区間を歩いて、ふもとから海側の景色を楽しむこともできます。名前のとおり日の出の名所ですが、済州市や西帰浦に泊まってバスで向かうと夜明けには間に合いません。日の出が目当てなら、城山の集落に1泊して歩いて向かいましょう。

漢拏山は、むしろ車がないほうが楽

韓国最高峰の漢拏山(標高1,950m)は、車がないほうがかえって楽な場所です。国立公園の城板岳コースの案内には、駐車場が狭く繁忙期には入山時間前に満車になることが多いので、公共交通機関で来てほしいと書かれています。済州バスターミナル発の281番と空港発の181番がどちらも5.16道路を通り、停留所から登山口までは歩いて2分ほど。漢拏山の予約サイトによると、281番は済州バスターミナルから約45分で、上下線とも朝6時ごろから夜10時ごろまで運行しています。

山頂まで登れる城板岳コースと観音寺(クァンウムサ)コースは、公式の漢拏山探訪予約システムでの事前予約が必要です。予約システムには外国語サービスもあります。予約は、登る月の前月の最初の平日の朝9時から受け付けが始まり、予約が済むと登録した電話番号に入山・下山用のQRコードが届きます。予定が変わったら必ずキャンセルを。無断で来なかった場合、1回目は3か月、2回目は1年間予約ができなくなります。城板岳コースは片道9.6km、上りに約4時間30分、往復で約9時間。入山の締め切りもあり、4〜9月は12時30分、10〜3月は11時30分までに登山口と「ツツジ畑(チンダルレバッ)」の管理所を通過しなければなりません。

山頂にこだわらないなら、御里牧(オリモク)コースと霊室(ヨンシル)コースで標高約1,700mのウィッセオルムまで登れます。公式の予約システムの対象は城板岳と観音寺の二つだけで、最近登山をしていない方にはこちらの二つが勧められています。どちらも済州バスターミナルから240番で、御里牧入口の停留所までは約35分、そこから歩いて15分ほど。霊室までは約50分です。ただし霊室は、管理事務所から霊室休憩所までの最初の2.5kmが車と共用の道路で、公園の案内では管理事務所からだと片道約3時間15分、休憩所からなら約2時間30分です。

霊室コースの木の階段がロープの手すりとともに緑の低木の間を続き、その先に済州のオルムと雲の広がる空が見える
漢拏山の霊室コース。登山経験の少ない人に勧められているコースの一つで、済州バスターミナルから240番のバスで行けます。写真: Basile Morin / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

タクシーは「すき間を埋める」道具

済州のタクシーは島全域共通の運賃表によるメーター制です。2024年7月1日から適用されている料金では、一般的な中型タクシーの初乗りは2kmまで4,300ウォン。その後は距離に応じて、また低速走行時は時間に応じて加算されます。夜23時から翌4時までは20%の深夜割増、小型・中型タクシーは20kmを超えると長距離割増がかかり、タクシーを呼ぶと1回1,000ウォンの呼び出し料が加わります。

使いどころは、バスだと面倒な短い距離です。停留所から丘の上のカフェまで、大きな荷物を持って宿からターミナルまで、最終バスのあとに町へ戻るときなど。島を横断するような長距離は料金がかさむので、長い区間はバス、最後の数キロはタクシー、という組み合わせがおすすめです。郊外では空車が通りかかることはめったにないので、人里離れた場所へ行く前に帰りのバスの時刻を確認するか、運転手さんに帰りの相談をしておきましょう。タクシーを1日貸し切って回る旅行者も多く、その場合は出発前にルートと時間を決めておくと安心です。

日帰りツアーという選択肢

村のバスが少ない内陸のオルムや森を回るなら、日帰りツアーも便利です。島の東側か西側の見どころを1日でまとめて回り、済州市や西帰浦で送迎してくれる少人数ツアーが一般的です。申し込む前に、集合場所、ガイドの言語、入場料が含まれるかどうか、天気が崩れたときの扱いを確認しておきましょう。10か所を駆け足で回るより、数か所をゆっくり回るツアーのほうが満足度は高いものです。

車なしだと本当に難しいこと

だからといって車なしの旅をあきらめる必要はありません。拠点をうまく選び、1日に回る場所を少し減らし、どうしても行きたい1〜2か所だけタクシーやツアーを使えば十分です。

雨の日・風の強い日

済州は天気が変わりやすく、海からの風が強い日も少なくありません。漢拏山では、気象庁が大雨・台風・大雪の注意報や警報を出すと、登山道の一部または全部が通行止めになります。登る日の朝に必ず国立公園のサイトで確認しましょう。ウィッセオルム周辺は急な霧や落雷が起きやすい場所なので、予備の服や行動食を持っていくよう公園も呼びかけています。

海岸は、曇りの日には曇りの日の迫力があります。西帰浦の外トルゲなど海辺の奇岩や断崖は、荒れた日に崖の上の遊歩道から眺めるとまた違った表情を見せてくれますが、波が高い日は遊歩道を外れず、柵の内側から眺めてください。バス情報システムに運休のお知らせが出ている日は、無理をせず予定を柔らかく。博物館や市場、町でのゆっくりしたランチに切り替えるのも済州旅の楽しみ方です。たとえば済州バスターミナル発の260番の終点は、北東の海岸にある海女博物館です。季節ごとの天気は「韓国旅行のベストシーズン」の記事にまとめています。

曇り空の下、西帰浦の外トルゲの奇岩が、松の木と火山岩の崖のそばで波立つ青灰色の海から突き出している
曇りの日の外トルゲ。西帰浦の中心部から615番のバスで行けます。写真: Grapesurgeon / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

車なしモデルプラン

済州は、ゆっくり旅するほど味わいが増す島です。石垣と漁村のあいだを海沿いに走る201番の車窓は、移動時間ではなく旅そのもの。食べ歩きを中心にしたルートが欲しい方には、島内17か所を地図つきでまとめたPDFガイド『済州 3日、食べる』もあります。

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