慶州2日間モデルコース:初めての新羅の古都ガイド

新羅千年の都・慶州を2日間で。古墳群と瞻星台、夜の東宮と月池、仏国寺と石窟庵、KTXの駅名の注意点や市内の移動手段まで、初めての方向けにまとめました。

発行:Haeva Korea · 2026年10月19日

夕暮れの慶州・大陵苑。芝に覆われた王族の古墳に囲まれて、木々が立っている
夕暮れの慶州・大陵苑。芝に覆われた王族の古墳に囲まれて、木々が立っている写真: Basile Morin / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

慶州(キョンジュ)は、韓国の人なら修学旅行で一度は訪れる街。一方で海外からの旅行者には、釜山からの日帰りで駆け足に回られてしまうことの多い街でもあります。けれど本当は、もう少し時間をかけたい場所です。新羅(シルラ)の都として千年近く続いたこの街では、古い都の上に新しい街が建て替えられることがありませんでした。住宅のすぐ隣に芝に覆われた王の墓が盛り上がり、7世紀の石造りの天文台が野原にぽつんと立ち、郊外の山にある大寺院は今も現役のお寺です。

この記事は、初めての慶州を2日間で回る方のためのものです。1日目は平らな旧市街を歩いて、夜の月池(ウォルチ)で締めくくる。2日目は山側の仏国寺(プルグクサ)と石窟庵(ソックラム)へ。地元の人に聞けばたいていこの形を勧めるはずです。そして「1日しかない」という方のために、何を削ればいいかも正直に書きました。

なぜ慶州なのか

新羅は紀元前57年から935年まで、この地を都としていました。その都の跡は「慶州歴史地域」としてまとめられ、2000年11月にユネスコの世界遺産に登録されています。韓国観光公社(VisitKorea)の説明によると、登録範囲は5つの地区に分かれています。磨崖仏や石塔が点在する街の南の山・南山(ナムサン)地区、瞻星台(チョムソンデ)や東宮と月池を含む王宮跡の月城(ウォルソン)地区、大陵苑(テルンウォン)の古墳地区、皇龍寺(ファンニョンサ)跡地区、そして都を守った山城の跡が残る山城地区です。指定文化財は合わせて52件にのぼります。

これとは別に、1995年12月には仏国寺と石窟庵が世界遺産に登録されています。ざっくり言えば、前者が「王の都」、後者が「新羅仏教の到達点」。旅行者にとっての違いは移動手段で、前者の多くは平らでコンパクトな市街地にあって半日あれば歩いて回れますが、後者は郊外の山の中なのでバスかタクシーが必要です。日本でいえば、市街地に古墳と宮跡が残る奈良と、山の上の古刹を一度に訪ねるような旅を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。

行き方:KTXと、まぎらわしい駅の名前

VisitKoreaの鉄道案内によると、ソウルと釜山を結ぶ京釜線(全長447.1km)は韓国でいちばん利用者の多い路線で、慶州のような歴史の街へのアクセスにも便利だと紹介されています。高速鉄道KTXが停まるのは「慶州駅(경주역)」。まず知っておきたいのは、この駅が旧市街の中にはないということです。慶州市の交通案内では、所在地は市の西側にある乾川邑(コンチョンウプ)。列車を降りたら、市内バスかタクシーで街の中心へ移動する前提で計画を立ててください。釜山から来る場合も同じ路線の逆方向になるため、長めの旅では釜山と慶州をセットにする人がとても多いのです。

もうひとつが駅名です。この高速鉄道の駅は、以前は「新慶州(シンギョンジュ、신경주)駅」と呼ばれていました。「慶州駅」という名前は、もともと市街地にあった古い駅のものだったのです。2022年の慶州市の広報誌によると、市内を通る鉄道の複線電化の開通にともなって旧市街の古い駅は営業を終え、その後「慶州駅」の名前が高速鉄道の駅に移りました。古い地図やブログ、公式サイトの一部には今も「新慶州」と書かれていますが、同じ駅のことです。

切符の予約は韓国のほかの路線と同じで、詳しくはHaevaのKTXガイドにまとめています。バスで行きたい方は、ソウルから高速バスで向かう方法もあります。到着するのは旧市街の端にあるバスターミナルなので、駅からの乗り換えが要りません。

市内の移動:まずは歩き、次に自転車、山へはバスかタクシー

旧市街の中は歩くのがいちばんです。大陵苑、皇理団(ファンリダン)通り、瞻星台、校村(キョチョン)村、東宮と月池はどれも近く、道も平らです。この「平らさ」こそ、Haevaの地域ページで慶州では特に自転車を勧めている理由でもあります。

慶州市の観光サイトでは、芬皇寺(プンファンサ)、皇龍寺跡、国立慶州博物館、月精橋(ウォルジョンギョ)、皇理団通りなどをつなぐ全長約10.7kmの半日サイクリングコースを紹介しています。難易度は「易しい」。レンタサイクル店は高速バスターミナルの前、旧慶州駅の周辺、大陵苑の周辺に集まっているそうです。ひとつ注意したいのが交通ルールで、韓国の道路交通法では自転車は「車両」扱い。自転車道がない場所では歩道ではなく車道の右側を走ります。

山側へは、慶州市が10番と11番の2つのバス路線を案内しています。同じ環状ルートを逆回りに走っていて、バスターミナルから瞻星台周辺、普門(ポムン)湖のリゾート地区を経て仏国寺へ、帰りは国立慶州博物館や東宮と月池の近くを通って戻ってきます。市によると運行間隔はおよそ20分、ターミナルから仏国寺までは交通状況によって35〜45分ほど。停留所でただ待つより、バス情報アプリでリアルタイムの到着情報を確認するよう勧めています。バスで届きにくいところ、特にKTXの駅との行き来や石窟庵への上りはタクシーが便利です。行き先の韓国語表記をスマートフォンに用意しておくと、どの移動もぐっと楽になります。

1日目:旧市街を歩いて、夜の月池へ

朝は人の少ないうちに大陵苑へ。ここに並ぶ丘はすべて新羅の王族の墓で、その間を歩いているうちに「慶州とはこういう街なのか」と腑に落ちてきます。VisitKoreaによると、1973年に発掘された天馬塚(チョンマチョン)は園内で唯一、内部が公開されている古墳です。近くの皇南大塚(ファンナムデチョン)は、夫婦の墓と考えられている双子の古墳です。2026年10月時点のVisitKoreaの情報では、大陵苑自体は無料、天馬塚は大人3,000ウォン、開園時間は9時から22時となっています。

大陵苑のすぐそばにあるのが皇理団通り。韓屋風の建物を中心に、カフェやレストラン、写真館、雑貨店が数ブロックにわたって並んでいて、お昼を食べるならまずここです。週末は混み合うこともあります。お店の入れ替わりが早いので、特定の店を目指すより、大通りから一本か二本入って開いている店をのぞいてみるのがおすすめです。

曇り空の下、砂地の広場に立つ瞻星台。花崗岩を瓶のような形に積み上げ、中ほどに四角い窓がある
7世紀に造られた瞻星台。写真で見ると小さく見えますが、実物もそれほど大きくはありません。それがまた魅力です。写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

午後は瞻星台へ。VisitKoreaによると、造られたのは善徳(ソンドク)女王の時代(在位632〜647年)で、高さはおよそ9m。石の数を一年の日数に、27段の積み方を新羅27代目の王である善徳女王に結びつける説明も紹介されています。現存する天文台としては世界でも最古級のひとつです。周辺は無料で夜まで開いていて(VisitKoreaによると夏は9時〜22時、冬は9時〜21時)、光の具合がよければ夕方にもう一度来るのもいいでしょう。

そこから王宮跡の林や野原を抜けていくと、校村村と月精橋に出ます。校村は伝統家屋が残る村で、慶州崔(チェ)氏の古い屋敷で知られています。月精橋は復元された橋で、VisitKoreaによると760年に架けられ、朝鮮時代に焼失したのち、長い調査を経て2018年4月に韓国最大の木造橋として生まれ変わりました。渡るのは無料、22時まで開いていて、夜はライトアップされます。

赤い柱と両端の楼門をもつ長い屋根付きの木造橋・月精橋が、静かな川面に映っている
復元され、2018年に公開された月精橋。橋の上からは校村村と川の流れを見下ろせます。写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

東宮と月池は、暗くなってからのお楽しみにとっておきましょう。ここは王子が暮らした離宮で、宴が開かれた場所でもありました。VisitKoreaによると、三国を統一した新羅の文武王が674年に池を掘らせ、中央に3つの小島を設けたそうです。長いあいだ「雁鴨池(アナプチ)」と呼ばれていましたが、1980年代に「月池」と刻まれた土器の破片が見つかり、「月を映す池」という本来の名前に戻りました。2026年10月時点のVisitKoreaの情報では、開館は9時〜22時(最終入場21時30分)、入場料は大人3,000ウォン。慶州市の観光サイトも「慶州随一の夜景スポット」と紹介していて、夕暮れどきは人が集まります。

深い青の夕空の下、ライトアップされた東宮の楼閣が石垣の上に建ち、月池の静かな水面にほぼ完全に映り込んでいる
ブルーアワーの東宮と月池。多くの人がこの景色を目当てにやってきます。写真: Basile Morin / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

2日目:仏国寺と石窟庵

仏国寺には早めに向かいましょう。VisitKoreaによると、仏国寺の始まりは新羅の法興(ポップン)王の時代で、751年に金大城(キム・デソン)によって大きく建て直されました。1592〜1598年の壬辰倭乱(文禄・慶長の役)で焼失し、その後20世紀に入ってから復元が続けられてきました。現在は7件の国宝を有しています。木造の堂だけでなく、その下の石の基壇や階段にもぜひ目を向けてみてください。2026年10月時点のVisitKoreaの情報では入場無料、拝観時間は9時〜18時。開門と同時に着けば、団体ツアーのバスより先に回れます。

仏国寺の本堂・大雄殿。瓦屋根に黄色の壁板をもつ木造の堂が、広い砂地の中庭の石の基壇に建っている
仏国寺の本堂、大雄殿。左手の回廊にいる人の小ささから、建物の大きさが伝わります。写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

石窟庵は仏国寺の上の山にある石窟寺院です。人工の石窟の中に花崗岩の釈迦如来坐像が安置されていて、景徳(キョンドク)王の時代(742〜765年)に、やはり金大城によって造られました。仏像は東の海の方角を向いています。VisitKoreaによると、仏国寺からは登山道で3km、車道で9km。上りはバスかタクシーで行き、下りを登山道で歩くのが楽な組み合わせです。天気が悪ければ歩きは無理せず省きましょう。石窟の見学そのものは短時間なので、山の空気と道のりも含めて楽しむ場所だと思ってください。

色とりどりの提灯が並ぶ参道の先に石段が続き、芝に覆われた丘の前に小さな木造の堂が建っている
石窟庵への参道。石窟は、木造の入口の建物の奥にある芝に覆われた丘の中にあります。写真: Bernard Gagnon / CC0, via Wikimedia Commons

午後は市内に戻り、2つの選択肢から選びましょう。ひとつは東宮と月池の近くにある国立慶州博物館。前日に歩いた土地から何が出てきたのかを見られる場所です。もうひとつは皇龍寺跡。今は広い野原ですが、慶州市によると、かつてここには真興(チヌン)王から善徳女王の時代まで約100年をかけて建てられた東アジア最大級の寺院があり、高麗時代のモンゴル侵攻で失われました。木造の九重塔は高さ80mを超えていたといわれます。隣の皇龍寺歴史文化館には塔の10分の1の模型があり、往時の姿を想像する助けになります。夕方の列車に乗るなら、KTXの駅までの移動時間を十分にみておいてください。

2日間のまとめ

日エリア見どころ知っておきたいこと
1日目 朝大陵苑新羅王族の古墳群/内部に入れる唯一の古墳・天馬塚園内は無料/天馬塚は大人3,000ウォン/9時〜22時
1日目 昼皇理団通り韓屋風の建物のカフェや食事処でランチ週末は混むことも/営業時間は店ごとに異なる
1日目 午後瞻星台と王宮跡周辺7世紀の石造りの天文台無料/夜まで開いている
1日目 夕方校村村と月精橋伝統家屋の村と復元された木造橋橋は無料・9時〜22時・夜はライトアップ
1日目 夜東宮と月池池に映るライトアップされた楼閣最終入場21時30分/大人3,000ウォン
2日目 朝仏国寺石の基壇と本堂の数々入場無料/9時〜18時/開門に合わせて
2日目 昼前石窟庵人工の石窟に安置された石の仏像仏国寺から登山道3km・車道9km
2日目 午後国立慶州博物館か皇龍寺跡新羅の出土品、または幻の大寺院の跡KTX駅への移動時間を確保
無理のない2日間の流れ。時間と料金は2026年10月時点のVisitKoreaの情報です。お出かけ前に確認してください。出典: VisitKorea(韓国観光公社)、慶州市 文化観光サイト

時間が足りないときは、ここを削る

1日しかないなら、市街地を取って山側を削るか、その逆にするのがおすすめです。全部を詰め込もうとすると、結局どれも中途半端になりがちです。具体的には次のとおりです。

ベストシーズンと泊まる場所

歩きと自転車で回る街なので、過ごしやすいのは春と秋です。夏は暑さで日中のサイクリングがかなりきつくなります。季節ごとの詳しい話は、Haevaの「韓国旅行のベストシーズン」の記事にまとめています。旧市街かその近くに泊まれば、夜の月池からバスを探さずに歩いて帰れますし、夕食に皇理団通りへ出るのも簡単です。お寺に泊まってみたい方は、予約の流れや英語プログラムのあるお寺を紹介したテンプルステイの記事も参考にしてください。

新羅の遺跡がそれぞれ何で、なぜそこにあるのかをもっと深く知りたい方には、HaevaのPDFガイド『Gyeongju, a City Guide』が一冊にまとめています。そして、2日間でも足りないと感じたなら、それはいい旅だった証拠です。慶州は名所を数えるより、ゆっくり歩くほど味わいが増す街。また戻ってきたくなる場所です。

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